先週、2月14日に私の母校である長野県南安曇農業高校にて、「虫の見ている世界を通してこれからの農業を考えよう」と題して、やさしい科学技術セミナーをさせていただきました。
グリーンサイエンス科、生物工学科の2年生、計80名が集まってくれました。
セミナーの時間は午後の3コマ分(おおよそ3時間)、こんなに長時間、人前で話をしたことはないし、ただでさえお昼過ぎの眠たい時間ですから、退屈な時間にしないためにはどうすれば良いか、とても悩みました。季節は冬、自由に虫を羽ばたかせることもできません(冬眠中です)。
3時間やりきった
今回、4つの内容を軸にお話をしました。
- わたしの夢
- 虫を味わう
- わたしの研究
- メッセージ
「わたしの夢」では、なぜ私が昆虫の研究をしているのかということを、これまでの経歴と関連させながら話しました。これから始まる課題研究(農業高校特有の科目)のヒントや進路の参考になったでしょうか。
特に「虫を味わう」というところには、興味を持ってもらえたようで良かったです。セミの唐揚げ、サクラケムシのバターソテー、コオロギパスタ、バッタとワームのチョコがけ(バレンタインデーだったからね)はどうだったでしょうか?昆虫の飼料・食料利用はこれから研究が進むべき分野です。昆虫食文化の残る信州でそういう研究が進んでいくといいですね。
もう「わたしの研究」を語り終わる頃には、私はヘトヘトでしたし、生徒さんも「まだ、こいつ話すのか」と思ったことでしょう。でも、私は今回どうしても「メッセージ」までを話したかったし、話し切れてよかった。
最後の質疑の時間、思ったより多くの生徒さんが質問をしてくれ、感動しました。どれも話をきちんと聞いていなくてはできないものだったし、さらに自分の見解を加えた高度な質問もありました。自分の疑問や見解を表明するということは、簡単だけどなかなかできない、とても大切なことです。
セミナーを聞いて、
「何かを勉強したい」「研究が面白そう」「虫が案外美味しい」「何かしたい(でもどうすれば良いかわからない)」「可笑しな卒業生がいるのだな」etc.
そんな風に思って、記憶の片隅に残ってくれれば、セミナーは大成功だったと思います。ずっと昔に聞いた話の内容が、ずっと後になってから理解できるというのは、よくあることです。
話は尽きず、、、
セミナーの後には、小池先生と西村校長先生とお話をさせていただきました。
- 私が在学中教わっていた、西村先生の農業化学の授業はなかなか厳しい(難しい)内容だったこと
- 農業高校出身者の四年制大学での苦労
- 若手研究者のキャリアパス
- 私がかつて教わっていた先生方の近況
- 私の課題研究で田んぼに鯉を放した先生の近況
- 私の在学中と現在の進路状況の変化
- 進学する上でかかるお金の話(奨学金等)
などなど、話は盛り上がり、結局2時間近くもお邪魔してしまいました。
いずれも濃い内容で、今回だけでは書ききれません。またの機会にまとめさせていただくこととしましょう。
今回のセミナーは、小池先生をはじめ、南安曇農業高校の先生方、生徒の皆さん、国際科学技術財団の小倉さんのご協力で行うことができました。この場を借りて皆さまに感謝いたします。
また、お土産に南安曇農業高校で育てたお花をいただきました。フラワーコースの皆さんが育てたのでしょう。ありがとうございました。
後日談
セミナーの後、いただいたお花や紙袋に入った昆虫食を持って南豊科駅に居たところ、生徒さんに声をかけられました。
生徒「それ、チョコですか?」
上原「そうだよ、虫チョコ余ってるから要る?」
生徒「マジですか?めちゃくちゃモテますね。」
上原「(???)」
上原「もしや、みんな豊高(お隣にある普通高校)?」
生徒「そうっす。」
上原「(そうか、セミナーにいた学生じゃないのか。)
上原「(今日はバレンタインデー。たくさんの紙袋やお花を持っていたら勘違いされるか。)」
上原「実は、自分は虫の研究者で、かくかくしかじか、、、。」
生徒「マジですか。昆虫博士ですか。」
==電車(松本行き)来る==
生徒「じゃあ、虫チョコいただきまーす。サヨナラー。」
上原「(あぁ、行ってしまった。こいつ、昆虫博士なんだぜ。ウソみたいだろ。)」
という一期一会の出来事がありました。
今回のセミナーを通じて出会った皆さんには、一期一会といわず、これをきっかけにまた出会えたら嬉しいです。
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