田んぼに水を張り、代かきをしてからしばらくすると、泥が沈殿して水が澄んできます。
その澄んだ水面に映る常念岳の姿、畦畔の青々しさ、木々の新緑、
これぞまさしく安曇野の象徴的な風景であると思います。
この景色が、私は一番好きですね。
勉学や研究のために故郷を離れてしばらく経ちますが、
毎年、この季節になると安曇野へ帰り、田植えの手伝いをするのが恒例です。
やはり、農業に関連する研究をしている手前、
自分の家の畑仕事くらいはできるだけ手伝いたいという思いがあります。
今年は、仕事と重なってしまい田植えには参加できませんでしたが、
先日、私用で帰省したときに、田植え後の様子を見ることができました。
私の研究の目標や考え方は、私がここで生まれ育ったことに強く影響されています。
折に触れて、この土地の農業や自然のことを紹介したいと思います。
あぁ、なんということでしょう。麦畑を手前に常念岳を撮ってしまいました。 |
安曇野を語る上で切って離せないのが、常念岳でしょう。
常念岳は日本百名山の一つにも数えられており、標高は2,857メートル。
左右に均整のとれたその形は(もっとも、見る角度によってずいぶん姿が変わりますが)、
3,000メートル級の山々が連なっている北アルプス連峰の中でも、
安曇野の景色の象徴となっている所以でしょう。
この季節になると、冬の間に積もった雪が溶け始めます。
山肌の、山の部分の雪は早く溶けるのに対し、谷の部分の雪は残るため、
雪の白と山肌の黒とが紋様を呈してきてます。
これを、雪型と呼びます。
常念岳に、お坊さんの形の雪形(常念坊)が見えてきたら、
田植えをするというのがこの辺りの習わしです。
確かに、雪が十分に溶けるには、ある程度の暖かさが一定以上続く必要があり、
農業をする上で雪形を目安にすることは理にかなっています。
先人の知恵というのは、すごいですね。
残念ながら、今回私が訪れた頃には、雪はすっかり溶けてしまっていて、
もう雪形は見られませんでした。
来年こそは、田植えに参加して、常念坊を拝みたいですね。
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